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2019年ゴールデン・グローブ賞アニメーション賞、アカデミー賞長編アニメーション賞を受賞した『スパイダーマン:スパイダーバース』の感想記事です!
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この記事はネタバレ注意の記事となっています。
個人的な評価としては…
もっというとここ数年の劇場で鑑賞した作品の中で一番心にグッときた作品でした。
目次
『スパイダーマン:スパイダーバース』あらすじ
ニューヨーク・ブルックリンで転校したばかりの名門校に馴染めず悶々とした日々を送る中学生マイルス・モラレス。
ある日マイルスは放射能を浴びたクモに噛まれスパイダーマンの力を手に入れてしまう。
自身の体に起こる異変に翻弄され不安を抱く彼は、偶然“暗黒界の帝王”キングピンが行っていた異次元の扉を開くための実験現場に遭遇してしまう。
そこでモラレスは死に際のスパイダーマン=ピーター・パーカーと「世界を救う」約束を交わす。
しかし自分の力を上手くコントロール出来ないモラレス。
そんな八方ふさがりの彼の下に違う宇宙からやってきた“スパイダーマン”ピーター・B・パーカーが姿を現す。
そして続々と集結する別の宇宙のスパイダーマンたち。
彼らはキングピンの計画を阻止し世界を救うことが出来るのか!。
『スパイダーマン:スパイダーバース』のスタッフ、キャスト
監督 ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン
脚本 フィル・ロード
原作 スタン・リー、スティーブ・ディッコ
キャスト シャメイク・ムーア、ヘイリー・スタインフェルド、マハーシャラ・アリ
『スパイダーマン:スパイダーバース』感想
無駄のない王道のエンタメ作品
この作品を一言で表すと「単純に面白い映画」という印象でした!
「ありふれた凡作」というような悪い意味合いでは決してないです。
個人的にここ数年で公開されている映画って「斬新な映像表現が…」とか「LGBTや人種差別を取り扱ってる社会派の…」や「他作品と世界観を共有していて合わせてみるとオモシロさ倍増…」てな感じで、オモシロさというものをめんどくさく感じてしまうような作品が多いような気がしてました。
もちろんそういった作品でも楽しめるのですが、心のどこかで「その作品単体のみで、肩の力を抜いて楽しめるエンターテイメント作品を観たい!」という欲求不満がフツフツとこみあげていました…。
そんな現状を打破してくれたのが『スパイダーマン:スパイダーバース』でした!
鑑賞前の情報では様々なメディアが『スパイダーマン:スパイダーバース』の魅力について“斬新な表現技法”についてばかりピックアップしていたので「面白いんだろうけど、一風変わった前衛的な作品なのだろうか」と心配していたのですがそんなの杞憂(きゆう)に過ぎませんでした!
この作品は2時間という上映時間の長さを忘れさせてくれるほどに娯楽活劇として完成されています。
エンタメ作品に必要な要素が無駄なく詰め込まれている
『スパイダーマン:スパイダーバース』が面白く感じられた大きな理由の一つが“テンポの良さ”です。
2時間という長さの物語の中に、娯楽活劇に必要な“日常”、“冒険”、“笑い”、“悲劇”、“感動”の要素がびっちりと隙間なく敷き詰めらていました。
そしてそれら一つ一つの要素がお互いを潰さず、むしろ効果を高める働きをしていました。
特に“悲劇”と“笑い”の掛け合わせ方は絶妙。
スパイダーマンと悲劇は切り離せない関係にあります。
私たちが知っているポピュラーなスパイダーマンは、育ての親であるベンおじさんを失うことによって「大いなる力には大いなる責任が伴う」ことを自覚しヒーローとして奮闘することになりますよね。
その後もスパイダーマンは恋人を失ったり、親友を敵に回したりと散々な目に遭いながらもヒーローとして立ち上がり続けます。
『スパイダーマン:スパイダーバース』の主人公マイルスも言わずもがな様々な悲劇に見舞われる事となります。
それも結構ヘビーな悲劇…。
しかし、『スパイダーマン:スパイダーバース』では感傷に浸る湿っぽい作品にならないために“笑い”の要素が有効活用されていました。
“笑い”の要素は使い方を間違えれば作品が薄っぺらく感じられてしまうもの。
一方“悲劇”の要素は強すぎると何だか陰鬱で説教っぽく感じられてしまいます…。
『スパイダーマン:スパイダーバース』ではこれらの要素がお互いの短所を潰し合い、“笑い”で作品のとっつきやすさを演出し、“悲劇”で作品の深みを生み出すという手法がなされていました!
この要素二つのバランスの良さが『スパイダーマン:スパイダーバース』を完璧な王道作品たらしめているのでしょう。
愛されキャラ「マイルス」に、二人の「ピーター・パーカー」
※多少ネタバレ含みます
主人公のマイルス・モラレスがトムホスパイディ並みに愛らしくて、全力で応援したくなるほど魅力的でした。
13歳という年齢設定通りの等身大の少年が“大いなる力”に翻弄され悲劇に見舞われながらも奮闘する姿には思わず胸を撃たれました…。
(ここで一度泣いた)
私の涙を誘ったキャラはマイルスだけではありません。
それはピーター・パーカーです。
『スパイダーマン:スパイダーバース』ではマイルスのいる世界に元から存在していたピーター・パーカーと、別宇宙からやってきたピーター・B・パーカー、二人のピーターが存在します。
この二人、顔はそっくりですが中身はかなり対照的。
キャラクターの詳細についてはコチラの記事をチェック!
『スパイダーマン:スパイダーバース』登場スパイダーマン&ヴィラン紹介!
マイルスの世界でスパイダーマンとして活躍していたピーターはヒーローとして完璧すぎる印象。
敵の手が迫る中スーパーパワーを手にし怯えるマイルスに対し「ヒーローとしての在り方」を説いたり、キングピンによる実験の爆発に巻き込まれ重傷を負いながらもマイルスを心配させまいと明るく振舞うなど最後までヒーローであり続けようとしたピーター。
活躍の場はとても少なかったですが、短時間でかなり愛着が湧いてしまい死亡シーンでホロリと涙を流してしまいました…。
清涼剤になってくれるBGM
BGMがとても軽やかで聞き心地の良いものが多く、作品の雰囲気を爽やかな味わいにしてくれてました!
あまり私は音楽に詳しくないんですが、使用されていたのはヒップホップが多くていわゆる“ブラックミュージック”系の曲が多用されていたように思われます。
都会の喧騒の仲にもポップでモダンな雰囲気ただよう本作の舞台ニューヨーク・ブルックリン。
本作の音楽たちはその雰囲気に上手く溶け込み、作品に不思議とリラックスさせてくれるような居心地の良さ与えています。
『スパイダーマン:スパイダーバース』感想まとめ
映像表現の面が何かと注目されている『スパイダーマン:スパイダーバース』ですが、老若男女問わず楽しめるように洗練されたストーリーや軽妙なテンポの方が私にとっては魅力的に感じられました!
皆さんも肩の力を抜いて『スパイダーマン:スパイダーバース』を単純に楽しんでみてはいかがですか?